【弍】覚醒

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一瞬の静けさ。 鶴城がそっと肩に触れ、我に返る真理。 「あれ? 私…どうして?」 (マリ、無意識に助けるのが他心眼よ。思ってた以上に、君は強いね) 頭の中で、レーヤの声がした。 (ふ〜ん…) 立ち上がり、地に着いていた掌を払う。 ふと…その視界に、異様なモノが見えた。 「マリ、逃げるんだ!」 鶴城もそれに気付いた。 彼の頭の中にも、レーヤの声が囁く。 (マリは大丈夫。それよりツルギ、本堂跡へ急いで! (うし)の方角よ。何かが居る) (了解!) 真正な仲間(とも)の契りを結び、その頭脳と心で言葉を交わす術式『心波(ここは)』。 怯え(おのの)く真理を残し、駆け出す鶴城。 レーヤの言葉に疑いはない。 「ちょっと待っ…早っ💦」 走るのは苦手な真理。 直ぐそこまで迫った屍人の群れ。 (警官達まで…どうして?) (奴らには『屍人使い』術がかけられ、殺された人間も取り込まれている様ね) (マジっ! ゾンビのパクリやないの!) 何て言ってる場合では無い。 (マリ、京都訛(なま)りが出てるよ) 走りながらツッコむ鶴城。 『片想い』に指摘され、赤面する真理。 (照れてる余裕があるとはさすがね。私は奴らがここを出ないように止めるから、マリはそれまで防いでて。ツルギ、ソイツは多分『鎌鼬(かまいたち)』。速さなら君の方が上よ!) 心波は、心情まで伝わる。 「防いでって言われても💦」 呟くも、逃げるも遅し。 (マリ、後ろを見て!) (えっ?) 振り向くマリ。 中の異常に気付き、入って来る警官達。 その後から、なだれ込むマスコミ陣。 「ダメ❗️」 「グゥオォ!」 その背中へ飛び掛かる、屍人の群れ。 「パシーン✨!」 空間を切り裂く衝波。 真理の背後で塵と化す屍人。 片膝をつき、頭の後ろで手を合わせた真理。 そこから広がる見えない壁。 (滅法『裏・防掌波』か。さすがだな) 「えっ?」 レーヤので、正気に戻る真理。 前方には、驚いて立ち止まった警官やマスコミ。 その視線の先へ振り向く。 「うわぁ❗️💦」 微かに煌めく壁✨が、彼女には見えた。 それに阻まれ、唸り声を上げる屍人達。 「これ…私が?」 (そうだよ、君が皆んなを守るためにね) (そんな術、私は知らないのに…) (君は風神。そしてここは、君が生まれ育った場所だ。それが、持って生まれた君の力を覚醒させた。ここは君の縄張り(テリトリー)。マリは最強だよ) 「私の…テリトリー」 レーヤに言われて気付いた。 近付いてくる屍人に、何故か怖さを感じず。 平静さの中に、自信さえあったこと。 (皆んなを近付けないように!) それを告げたレーヤ。 唯一残った三門へと、足を踏み入れた。 (酷いな…やはりここか) 設置されたはずの警察の現場本部。 10人程…と思われる遺体が、散らばっていた。 一方。 その声を聞きながら、ツルギのは、得体の知れないと対峙していた。
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