【序・概説】

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【序・概説】

主人公:華僑林(かきょうりん) 麗夜(れいや)、通称レーヤ。 生まれつき両の腕がなく、ゴスロリファッションのアームカバーで隠している。 天台宗派の畔柳(くろやなぎ) 龍冥(りゅうめい)が学長を務める、日本大正大学の4年生でありながら、宗教法人天台宗務庁の東京支部長でもある。 就活面接で、天台宗務庁を訪れた日下部(くさかべ) 真理。 彼女が浄土宗門主(もんす)である日下部 法成(ほうじょう)の娘と知っていたレーヤは、その能力『他心眼』を確認し、採用を内定させた。 天台宗関東本山、冥奉寺。 その住職で天膳の弟、華僑林 蒼樹(そうじゅ)。 彼の救援要請に応じ、真理と防術師の望奈萠(みなも) 柊羅(ヒーラ)を連れて冥奉寺へ来たレーヤ。 そこに居たのは、憑きモノに侵食された少女。 強大な能力で少女を救ったレーヤは、異国の堕天使アザゼルに、疑念と嫌な予感を持った。 その頃、奈良の東大寺では、仏教界の定例集会が開催され、天台宗座主(ざす)の華僑林天膳は、帰路の途中、自ら運転する車で事故により死亡。 尾行する不審車もあったが、後続車のドライブレコーダー映像や、物的証拠から自殺と断定された。 天膳の遺言により、座主の座を継いだ娘のレーヤ。 不服を表明し、不穏な動きを見せる兄の神樂(かぐら)。 比叡山延暦寺に移り、座主代理を務める蒼樹。 東京の天台宗寺社で相次ぐ火災。 レーヤの側近である辻桐(つじきり) 宗馬(しゅうま)は、『先望術』を用いて次の襲撃場所となる成就寺(じょうじゅじ)で待伏せ、浄土真宗の術師、炎魔と対決する。 そこへ加勢した浄土宗の隠密、月陰と星陰。 炎魔の襲撃は、浄土宗内に潜伏している浄土真宗の密偵が流した情報によるもので、日下部法成は二人を派遣し、その信頼を試した。 しかしこれにより、浄土真宗門主の枚方(ひらかた) 朔也(さくや)は、法成が天台宗についたことを確信したのである。 浄土真宗本願寺派、圓城寺(えんじょじ)に逃げ潜んだ炎魔は、宗馬の仕掛けた包囲陣で場所を知られ、レーヤの圧倒的な法力の前に敗れた。 そこでレーヤは、自らを1002番目の千手観音の化身であり、その最高位の千手観音『蓮華王菩薩』が座す『蓮華部』が、自分の居場所と告げた。 それは全て東大寺で父天膳が、文化庁長官の花山(はなやま) 武政(たけまさ)に託した書状に記されていたものである。 一方、高野山真言宗座主の弟で、高野山東京別院 住職の久我山(くがやま)将生(まさき)は、公益財団法人全日本仏教会の会長の座を狙う中、何者かにより殺害された。 座主の久我山宗守が派遣した、忍びの翡翠(ひすい)が発見し、殺害現場である将生のオフィスに入った秘書の新月(あらつき) 結女(ゆめ)は、屍人(しびと)使いの術に操られた将生に襲われ、翡翠に助けられる。 将生を殺害した術師は未だ不明だが、翡翠はある疑念を抱いていた。 そんな中でレーヤは、顔見知りの曹洞宗宗務庁 長官、神巳沢(かみざわ) (らん)を立会人にして、同じ大学に通う真言宗智山派座主の息子、神崎(かんざき) 鶴城(つるぎ)、日下部真理の二人と、宗派の垣根を越えた『仲間(とも)』と言う絆を締結させた。 これらの出来事は、瞬く間に全宗派に伝わり、それぞれ東京やその周辺にある拠点に、主力を集結させたのであった。 東京の覇権争いを掲げながらも、本意は別にある。 時は迫り、その中心にレーヤが居た。 そして、対立しながらも、華僑林天膳と久我山宗守が目指した、仏教界統一の目的も…
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