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新・7月24日
目が覚めるとぼくは汗をびっしょりかいていた。
外ではセミがうるさく鳴いている。
「……え?」
ぼくの部屋じゃない。
畳の和室。部屋の真ん中に布団が敷いてあり、ぼくはそこで寝ている。ゆっくりと身体を起こして、ぐるりと室内を見回す。
布団のすぐ横には小さくて古い扇風機が置かれ、羽をぐるぐると回している。どうりで暑いはずだ。カタカタと音を鳴らす扇風機からは生温い風しか吹いてこないのだから。
ずっと扇風機に当たっていたせいか、喉がイガイガする。大きくでっぱった『とめる』のボタンを押すと、扇風機は名残惜しそうにゆっくり二周ほどまわって静かになった。
「ユウヤ、起きたのかい。もう九時だよ。夏休みだからって、いつまでも寝てちゃあいけないよ」
不意にふすまの向こうから声をかけられぎょっとする。
「だ、だれ!?」
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