新・7月31日

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 自慢じゃないけれど、ぼくは生まれてこのかた川遊びというものをしたことがない。だって、毎年夏になると川で溺れて死ぬ子どもがいるし、そういうニュースをみるたび母さんが「川に近付いちゃだめよ」って言うから、川に良いイメージがない。 「どうした。行かないのかい」 「……溺れたら怖いし」 「ほっほっー。大丈夫だ。ここの川にはの、竜神様が奉られておって子どもたちを守ってくれるからの。だーれも死にはせん」 「本当?」 「ああ、本当だ。それに村の子どもたちは泳ぎが得意な子ばっかじゃし、ユウヤが溺れても助けてくれよるよ。ユウヤ、川の水はの、きれいで冷たくて涼むにはもってこいだ。ほれ、行ってこい」  そう言って、おばあちゃんのシワだらけの手がぼくの肩にぽんと触れる。川に行ったからって必ず泳がなくてはいけないわけでもないし、足を水につけるだけでも充分に気持ちがいいだろう。それに、誰でもいいから友達になって話がしたい。  ぼくは暑さと退屈をまぎらわすために川へと向かうことにした。
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