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新・8月15日
それから、ぼくは川に行っていない。涼しくて最高の場所だけれど、なんとなくタカシに会うのが嫌だった。
おじいちゃんに将棋を教えてもらったり、おばあちゃんの農作業を手伝ったりして、ぼくは時間をつぶした。そのおかげで、ぼくはすっかり日焼けして、お風呂に入るたびピリピリと痛む。
最初は退屈すぎて死にそうだと思ったけれど、だんだんとこの生活にも慣れ、東京にいる時より規則正しい生活を送っている。テレビを観て、おじいちゃんに将棋を挑んで負けて、おばあちゃんの畑へ行く。キュウリやトマト、トウモロコシの収穫作業を手伝うのは思っていた以上に楽しいものだった。
採ったばかりのトマトにかぶりつけば、太陽の恵みをいっぱいに受けたそれはとても甘く、汁で手が汚れるのも気にならなかった。
「ユウヤもすっかり村の子だねえ」
そう言っておばあちゃんが笑う。鎌を片手に腰をトントンやって、首に巻いたタオルで汗を拭うおばあちゃんは、とても働き者だ。やさしいし、料理も上手だし、おばあちゃんの子だったら良かったのになんて思ってしまう。
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