新・8月15日

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「夏休みが終わってもここにいたいくらいだよ」 「ほっほっほ。うれしいことを言ってくれる。ああ、そうだ。今月の終わりには夏祭りがあるから、ユウヤも参加するといい」 「お祭り? それって屋台もある?」 「ああ、あるともさ。出店がたくさん並ぶ、賑やかな祭りだよ」 「やった! 楽しみ!」  代わり映えしない毎日の中、唯一のイベント。ぼくは浮かれて両手を空に突き上げた。東京にいたら祭りくらいで、こんなにはしゃいだりはしない。  顔をくしゃくしゃにして笑うおばあちゃんと、抜けるような青空だけが、大喜びするぼくをじっと見ていた。
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