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祭りでお面を買ったのは何年生の時だろうか。二年生か三年生くらいが最後だったように思う。アニメのキャラクターの顔がずらりと並んでいる。
「ユウヤくん」
不意に声をかけられ振り向くと、そこにはタカシが立っていた。相も変わらず手作りの鬼の面をつけて、あの日と同じ服を着ている。
「また明日って言ったのに来なかったね」
タカシがぼくを責めるように言う。
「あ……ああ、ごめんね。おばあちゃんの手伝いが忙しくて」
「夏休み、もう終わりでしょ? 明日か明後日には帰っちゃうの?」
「うん、そうだね。たぶん、帰るよ」
そう答えながら、ぼくは不安に押し潰されそうになっていた。気にしないようにはしていたけれど、ぼくの夏休みは二回目なのだ。本当に夏休みが終わったら東京の実家に戻れるのかどうか。今のところ確信はない。
「お面、買うの?」
「え……どうかな。見てただけだから」
「いいな。新しいお面、ほしいな」
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