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新・8月29日
「ユウヤ、こんなところにいたんだねえ。さ、そろそろ帰ろう」
お面をつけたままタカシと一緒にいるところへ、おばあちゃんが戻ってきた。
さあ、帰ろう。
そう言って、おばあちゃんがタカシの手を取る。
「ちょっと、おばあちゃん。ユウヤはぼくだよ」
お面をつけているから間違えたのだろうか。それにしたって、ぼくはおばあちゃんお手製のジンベエを着ているというのに。
「おや。おまえさんは誰だろうね」
「タカシだよ。友達になったんだ」
「えっ、おい! タカシは君だろ。ぼくがユウヤで君がタカシ」
ドンドンドンと太鼓が鳴る。
それに合わせてぼくの心臓も激しく鳴った。
タカシからもらったお面を取ろうにも、なぜか外れない。耳にゴムでひっかけているだけなのに、どうしてもお面が取れない。
「さあ、帰ろう」
おばあちゃんがタカシの手を引いて帰っていく。
「おばあちゃん! 待ってよ! ぼくがユウヤだよ!」
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