旧・8月31日

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旧・8月31日

 夏休み最終日。  ぼくは勉強机の前で、さっきから一向に埋まらない日記帳にげんなりとしていた。どうして夏休みには日記が宿題でだされるのだろう。  ドリルや自由研究のほうがまだマシだ。  日記は毎日書かなくてはならないし、そのうえ、ドリルのように正解はない。だからこそ面倒でむずかしい。  ぼくは、ただの一ページも書けていない真っ白な日記帳を睨みつけた。一体なにを書けばいいのだろう。夏休み初日のことなんて、もうすっかりと忘れてしまった。だからといって、何時に起きたとか、ラジオ体操に行ったとか行かないとか、そんなつまらないことを書く気にもなれなかった。  けれど、ぼくの夏休みはたいして面白いことがあったわけでもない。人並みに海水浴に行ったりもしたけれど、それだけだ。キャンプに行ったとか、旅行に行ったとか、そんな大きなイベントはひとつもない。結局のところ、なにをどう頑張ってもぼくの日記はつまらないものになるのだろう。
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