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新・7月31日
けれど、そんな考えは一週間も過ぎるときれいさっぱり消えてなくなっていた。
とにかく退屈なのだ。
なにもすることがない。
テレビを観るのも飽きたし、外で遊ぼうにも娯楽施設がなにもない。見渡す限り田んぼと山。コンビニすらないんだから、ゲームセンターもカラオケも映画館もないに決まっている。
一体、ここらへんの子どもたちはなにをして遊んでいるのか。
おばあちゃんは日がな一日農作業をしているし、おじいちゃんは一日中ぼんやりしている。おばあちゃんの作るごはんは美味しいし、夜になれば空一面に星が見えるのも最高だと思う。でも、退屈は消えてなくならない。
「ねえ、おじいちゃん。この辺に、ぼくと同じくらいの子どもっている?」
新聞を読んでいたおじいちゃんが、老眼鏡を外して首を傾げた。
「さあの。ばあさんに聞いてみるといい」
「おばあちゃん、どこ行ったの」
「おまえに食べさせるためにトウモロコシを採りに行った。家を出て右にまっすぐ行けばわかるじゃろうて」
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