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激しく抱かれる感覚は好きだけど、自分で動かないと感じられないこれは不得意で。紫崎に言われた時は顔がひきつった。
腰は頑張って動かすけど、慣れてないから快感は薄いし、ガン見されるのもきつい。
荒く呼吸して腰を揺らし、ちらりと彼を見たら何故か微笑んでいて。それが気になった。
「んぅ、ぁっ、なんでっ、これがよかったんだ? 紫崎だって
、あんまりよくないだろっ。俺、下手だし……」
すると、彼は労る様に俺の腰を撫でた。
「皐月さんの顔と身体、改めてゆっくり見たかったから……」
「えっ……」
途中から彼は伏し目がちになって、初々しい反応を俺に見せた。
「こういうこと初めてした時から、綺麗な身体してると思ってたから……激しくする前に見たいと思って。それに、付き合い立てだし……もう俺のだって実感したくて……」
「そっ……!?」
(そんなこと思ってたのかっ……!)
いろんな感情が込み上げてきて、感激でまた涙が出そうだった。
でもさすがに泣き過ぎだから、両手で顔を覆って上向いて。涙はなんとか引っ込めた。
「けど……」
俺の後頭部に紫崎の手が触れたと思ったら、俺の身体はゆっくり後ろに倒されていた。
背中が布団に着地してから、顔を隠していた両手を外す。
彼は色気を溢れさせながら、俺を意外そうに笑った。
「きっと、バーでした時みたいに俺をリードしてくれるんだと思ってたから……下手だとは思ってなかった」
「わ、笑うなよ……」
恥ずかしさがあったから、むすっとして睨んだけど、彼はまた可笑しそうに笑った。
「ごめん。でも……」
今度は俺の頬に唇を寄せ、甘く囁いた。
「可愛かった……」
「えっ!? ひっ、ぁっ!?」
びっくりした。可愛いなんて、俺以外に対してだって使ってるのを見たことはない。
付き合い出して豹変したのかって感じた後、彼はすぐに俺を攻めだした。
腰を掴んで固定して、一点集中。小刻みに奥を激しく突き上げた。
静かだったベットのスプリングにも、ようやく仕事が来たみたいだ。ギシギシ音を響かせていた。それが、俺の声と混じっていく。
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