つきあいたてのふたり

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 収納グッズとかキッチングッズを見るだけでも楽しいし、如何わしい思考からも離れられる。  車から降りると、純粋にデートを楽しむ為に頭を切り換えた。  お互い買い物カゴを持って、店を見て回る。 「紫崎は何買うんだ?」 「収納用のカゴと、掃除用のウエットシートとか」 (あー、わかる。テレビでやってたらカゴ欲しくなるし、ウエットシートもいろいろ種類あって百均で事足りるんだよな) 「あと、味付き卵作るやつ」 「えっ、俺も!」  買おうと思っていた物が同じで、テンションが上がった。喋る時、前のめりになって。 「少ないめんつゆで作れるの良いよな!」 「それにつまみにもちょうど良いし、手軽だから何回も使えそうで」 「わかる! 百均の物って安いからかなり買うけど物によっては使う回数少なかったりとか……あ!」  店で話すことじゃなかったって、思わず口を塞いで周りを気にした。  紫崎はそんな俺を見守る様に微笑んでいたから、年上っぽさを失くしてて恥ずかしくなった。  自分に呆れて、肩を落とす。 「ご、ごめん……なんか大人げなくて」 「別に」  すると、紫崎はカゴを持っていない方の手で俺の手を握り、売場に誘導した。 「楽しそうだし、そういう所も見たかったから……我慢しなくていい」 「紫崎……」 「付き合ってるから、もう何も隠さないでいい」  考えていることが同じだったりするけど、何事にも動じなくて、包容力もあって。  恋人としての彼の魅力がどんどん見えてくるから、手を引かれながらドキドキしていた。 (かっこ良すぎるな……俺の彼氏)  真っ赤な顔をどうにか誤魔化そうとして買い物をしていたけど。紫崎には気付かれていたみたいだ。  時折、微笑みながら満足そうに俺の顔を覗いていたから。  買い物を終えると近くのカフェで昼食を取ったり、ショッピングモールで服等を見たり。  時間をたっぷり使って、初々しくデートを楽しんでいた。  けど、時間はあっという間に過ぎて、とうとう終わりがやって来た。
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