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そしたら、彼は俺の手首を掴むと頭から遠ざけて、その代わりにと、俺の唇に触れた。
「んっ!?」
びっくりして目を見開いたら、紫崎は離れた。そして、照れた様子で、可愛いことを言い始める。
「さっきの人。皐月さんの好みっぽかったから……皐月さんが俺のこと忘れないようにと、マーキング」
そう言うと、紫崎は俺を軽く抱き上げてドアの前から退かし、トイレから出て行った。
その後、俺の身体は一気に沸騰したみたいになって。
「っ……忘れるわけないからっ」
胸がいっぱいで、真っ赤な顔を隠す為にしゃがみ込んでうずくまった。
俺の中では、紫崎と水無瀬さんの接触に対しての心配はもうない。
ただ、紫崎の前で俺の表情が崩れてバレないかだけが、心配の種になった。
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