ほんのできごころ

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 腰の手は背中に移動していて、強く俺を引き寄せてくれていた。どちらともなく舌を絡めて、試すって範疇(はんちゅう)を越える程、俺は味わっていた。 (やばいっ、久しぶり過ぎて、気持ち良過ぎっ。しかも、あの紫崎と……)  濡れた唇と舌を一度解き放つと、互いに熱い吐息を吐いた。  紫崎は少し戸惑っているみたいだったけど、嫌ではなさそうで。 「キスは平気みたいだな……気持ち良かったか?」  照れ隠しみたいに俺から顔を逸らしたから、肯定だと受け取った。  気分を良くした俺は、紫崎自身を暴きに掛かろうとしゃがみ込んだ。 「次は、こっちを触ってみてもいいか?」 「……はい」  意を決して強く覚悟したみたいな低い返事が聞こえた後、ベルトを外した。デニムのファスナーを下ろして、紫崎のモノを拝見する。  まだ、起立はしていない。が、質量が増せばこちらが十二分に満足出来そうなモノにはなりそうで。うっとりと見惚れた。 (すごいでかそうっ。これで奥突かれたらっ、多分やばいっ)  沸き上がってくる興奮を抑えながら、やんわりと片手で包んで手を上下させる。  紫崎の息遣いを感じながら、彼を快感に導く為に淫らな手の動きを繰り返した。  しかし、紫崎のモノはなかなか反応を示してはくれない。 (緊張してるせいか……? 全然起たない)  雲行きが怪しくなってきた。  もう少し大胆な事をしないと起たないのかもしれない。そう考えた俺は、上目遣いで彼にある提案をする。 「舐めてみてもいいか?」  紫崎はぎょっとしていたが、少し間を空けてから控え目に頷いてくれた。  許可をもらったので、手でそれを支えながら丹念に舌で刺激してやった。 「んっ……」  今までの相手だったら、この前にはもう反応している。  吸い付いたり、なぞったり。今まで培ってきたテクを存分に披露した。  なのに、彼のモノが感度を表す事はなかった。 (これ、男じゃ起たないって事だよな……というかこの状況、紫崎にとってはただ恐怖なだけじゃないのか……?)  変わらない彼のモノを見て、唇を離す。
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