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興奮していた顔が真っ青になるのを感じた。
酔いも冷めてきて、頭の中では理性が勝ってくる。後悔と申し訳無さと、自分の罪の重さに襲われた。
辛い現実に、目を向けざるを得なくなる。
(これ、マジでやばいんじゃないか……。今まで隠してきたのにこんな事して、しかもこれじゃあ紫崎に怖い想いをさせてトラウマを植え付けただけだ。俺の部下を愛で続ける生活、終わった……)
うつ向き続けた俺は、無言で彼の服装を直してやり、立ち上がった。
「係長……?」
突拍子も無く終わった様に感じたらしい、紫崎の呼び掛け。俺は顔を上げる事が出来ず、項垂れながら沈んだ声で言った。
「ごめんな紫崎、お前が嫌がる事して……」
「え?」
「大丈夫だ。俺ちゃんと責任取るから、お前は今まで通りに仕事頑張ってくれ。俺居なくなるけど、元気でな……」
「……は?」
彼の疑問の声と同時に、トイレの個室を開けた俺は、その場から走り出した。
力になりたかったとは云え、ノンケの部下を襲ったんだ。彼に怖い想いをさせた俺の罪は重い。
かなりの後悔を抱え、俺はお気に入りの部下の前から去る決意を、暗く沈む夜道で固めた。
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