いっときのふれあい

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「それに昨日、男との体験を勧めてきたあんたは、俺の相手してくれるとも言った。酔っていたみたいだけど、確かに言った。だから、あんたの前でこうなってる責任、取ってもらうから」 「えっ!? むらっ、んっ!」  抗議は認めない。そんな意味合いで紫崎はキスをしてきた。  淡白だって思っていたけど、そうは感じさせない若さ故の強引さや情熱があるキスで。どんどん引き込まれてゆく。 (これはっ、良いのかっ? こんなの願ったり叶ったりだけど、マジでこういう展開で良いのかっ?) 「んんっ、ぁっ……っ!」  自問自答繰り返していたけど、紫崎の激しい舌使いで理性は崩壊。  腕を掴まれ触れるようにされていた彼のモノを自分から握り直して、手を動かした。 (もうっ、我慢の限界だっ。でもっ、男は初めてだろうからっ、ゆっくり……)  口付けていた彼は俺の手がゆっくり動き始めると、閉じていた目を薄く開いた。  微かに身動(みじろ)いで、感じている様子の紫崎。濡れたリップ音を立てて唇を解放すると、俺のスーツを脱がしに掛かった。  久しぶりの行為で、俺はかなり興奮してる。でも、俺の身体見て、紫崎がどんな反応を示すかは気掛かりだった。 (二十五のノンケが、三十四の男の身体見るのって、それこそ萎えないのか? 普通に触れるもん?)  全裸にされ、空気も敏感に感じる様になったけど、紫崎からの視線もかなり感じた。上から下まで、舐め回すみたいに視線を動かした後、発声する前の息遣いがして。 「なんて身体して……」  一瞬、気持ちがざわっとした。けれど、それはすぐに消えた。 「エロ……」 「え……あっ!」  ぼそっとした独り言の後、俺の胸板に指が這わされた。そこを愛撫したり、胸の飾りを指で刺激したりして。 「んぁっ、ぁっ」  さっき口付けてくれた唇と舌で胸に触れて濡らし、俺の快感を引き出してくれた。  もどかしげに脚を擦り合わせると、すぐにそこも撫でられて。俺のモノを手で包んで扱き出した。 「ぁっ、ぁ、んっ……」  俺の感じた声を指針にして、探り探り手を動かしているみたいだった。
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