はずかしいばくろ

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 これはさすがにやばいと肌で感じ、かなり反省して上を見上げる。 「ほ、ほんとごめんな? 誤解させたみたいで……」 「そうじゃなくてっ」  乱暴気味に声を遮ると彼は俺の席の前に座って、前のめりになった。 「一応、確認するけど……この相手って、男?」  言っている言葉は違うけど「お前はゲイなのか」と言われている気がした。喉の辺りが息苦しくなったけど、表情を強張らせながら小さく頷く。  すると、紫崎は小声ながらも語気を強めた。 「昨日のっ、驚き過ぎてつい返事しちまったしっ、どうしたらいいかわからなくなって避けるみたいな事したけどっ、何で勝手に決めんのっ」 「……へ?」 「確かに俺っ、自分からはあまりしないって言ったしっ、淡白な方だけどっ、あんたがそうして欲しいって言うならするし! なのにわざわざ他の奴に頼むとかっ、知らない奴に男として負けた感じして腹立つんだよっ」  迫力に圧倒されたが、話が思いがけない方向に行っていて、おずおず確認する。 「お、俺の事知って……ドン引きした訳じゃなかったのか? 普通は無理だろ? 俺みたいなのと、激しくとか……」 「だからっ、勝手に決めんなっ」  この調子でずっと喋るのかと思っていたら、紫崎はテーブルに置いてあった水を一気飲みした。そして、少し熱が収まったみたいに落ち着いた様子で俺と向き合った。 「驚いたけど、引きはしなかった。むしろ、あんたがどういう風になんのか、興味あり過ぎてやばくて。頭の中そういう事ばっか浮かんで、だからあんたとまともに喋れなかった」  肘付いて頭抱えて、恥ずかしそうにする紫崎の赤くなった顔。それが彼の指の隙間から見えると、心臓が高鳴った。 「俺、一昨日ので興味持ったけど、男はあんたじゃないと絶対無理。だから、あんたに拒否られたらどうしようもなくなる。でも、相手を他の奴に頼むくらいなら俺にしろよ。絶対、俺が満足させるから」  すごく胸が締め付けられたけど、心の中で葛藤は続いてる。本当に紫崎の言葉に甘えていいのか、悩んでいた。    するとテーブルに置いていた右手に紫崎の左手が重なった。強い眼差しで、更に俺を誘惑してくる。  視線を外すと、熱の篭った手で強く手を握られて、俺は逃げられなくなってしまった。
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