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「良いよ、紫崎。俺が答えるって言ったんだから。けど、俺体力ないからさ、一週間に二回くらいで回数も多くないかなー。だからか恋人も全然出来ないんだよっ」
後頭部を掻き、照れる様に面白おかしく答えてやったら、紫崎以外の四人は笑ってくれてた。
紫崎は彼等を渋い顔で見ながら酒を煽っている。
俺はと云えば、久しぶりに嘘ついてちょっと頭の中が悶々としていた。
(恋人居ないのは本当だけど、さっきのは大嘘なんだよな。本当は、毎日でもガンガンしたい。てかゲイで、抱かれたい側だし。それこそ腰ガクガクにされて、自分のが搾り取られるくらい激しく抱かれたい。あー、もう限界かも……セックスしてぇ)
笑顔でちびちび飲みながら、そんな本性を俺はずっと隠している。
ガチムチとは云えないまでも、俺はガタイが良い方で。20代の時と比べると色気が落ちてる気がするし、今やネコとしても中途半端でおっさん。
過去にカミングアウトで失敗したから、もうそれをする勇気もない。だからノンケは恋愛対象じゃなくて、愛でる対象。
どんなに魅力的な相手が目の前に居ても、恋人には出来ない。だから目の保養にするだけ。
(そろそろ一夜だけの相手、マッチングアプリで探そうかな。欲求不満、爆発しそう)
男と酒に弱いから、酔っ払ったらそんなことをみんなの前で叫んでしまうかもしれない。
だから帰れる余力は残せる様に、途中から水割りのウイスキーと偽って烏龍茶を飲んでいた。
その変化を一人に気付かれているとは思わず、愛でる対象達との夜を俺は存分に楽しんだ。
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