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でも、まだそうと決まった訳じゃない。俺は困惑して、最初に思ったことをまた軽率に発言していた。
「そ、それは……俺の身体が好きってこと……だよな?」
俺が喋り終わると、紫崎は即座に身体をぴくつかせた。
しばらく無音が続いていたけど、彼はおもむろに俺の両肩を掴んだ。そしてゆっくり身体を引き離して、向かい合った。
ED騒ぎの時みたいに、また怒られるのかと思ったけれど。
紫崎は困っているみたいな、複雑そうな表情で俺を見ていた。
否定なのか、肯定なのか。判断がつかないでいると、彼は珍しく緊張しているみたいに喋り出した。
「さ、最初は、身体から入ったから……そう思われても仕方がないけど……身体だけじゃないから。俺、本当にこういうの初めてだから……まだ自分でもわからないところあるけど……」
(あっ……これ以上喋らせたらだめだっ)
直感でそう感じ取った俺は、両手で紫崎の口を必死に塞いでいた。
「まっ、待って!」
「んぶっ!」
「ご、ごめんっ! 俺、これ以上は聞けないっ!」
顔もまともに見れなくて、熱くなっていく顔面を下に向ける。
でも、紫崎の方が力は強いから、そんなのは無意味で。手首を掴まれ、手は口から簡単に外されてしまった。
「……なんでっ」
頭上からは、ムキになった様な声が届く。
「い、いや、だって……っ」
(それ以上のこと聞いたら……俺、流されそうっ。それにノンケとは相容れないって、自分で線引いて愛でるだけにしてたんだからっ……これ以上欲張るのも、紫崎を引き込むのもダメだっ。例え紫崎の気持ちが嬉しかったとしてもっ)
自分の気持ちを押し殺し、紫崎のことが目に入らない様に目まで瞑って告げた。
「俺、そんなつもりなかったし……どうにもしてやれないっ。こんなこと何度もさせておいて、最低なのはわかってるけどっ……自分の欲求埋める為に利用してただけだからっ」
傷付いてんのは、こんなことを言われる紫崎の方だろう。
それなのに、泣きそうになるくらい胸の奥が痛くて哀しかった。
強い力で手首を握られていたけど、紫崎はゆっくりとそれを放した。そして。
「っ!」
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