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紫崎は俺がゲイなことも知っていて、性癖も把握している数少ない人間だ。そんな安全圏の人間が恋人となると、自由度が増すし、気も緩む。
自分を偽らなくても良いっていうのは魅力的な言葉だけど、本性がバレる危険も増す。
(そもそも、紫崎は俺の好みそのものだし……今まで抑えてた分、性欲も爆発しやすくなるだろうな。すぐ触れるし……)
そんな心配している俺の頭を、紫崎は毅然とした態度で撫でていた。
「そんなの、付き合ってるんだから当たり前のことでしょ。それに、俺の方がそうなりそうだし……気にしてられなくなると思う」
「えっ、ぁ!」
俺が物思いに耽ている間に唾液で濡らしたらしく、彼の指が俺の中に入ってきた。
指の感触を敏感な場所で感じながら、彼の言葉に耳を傾ける。
「今まで通りっていうのは、俺求めてこうやって感じてってこと」
「んぁっ!」
指の抜き差しが始まると、彼はすぐに俺が感じやすい場所を探り当てた。快感のあまり、きつく彼の指を締め付ける。
「俺も、皐月さんが恋人なら、こういう我慢しなくて済むだろうし……今まで躊躇していたこととか、いじめる為にしちゃいそうだし。お互い様だから」
(何する気なんだっ)
気持ち良さでびくびく跳ね上がる俺の身体をうっとりと眺め、彼は指の本数を増やした。
「ぁっ、ぁ、ぁ!」
水音が響く様に、激しく二本の指を動かす紫崎。
いつの間にか身に付けていたテクで俺を魅了し、俺の不安を消し去っていた。
そして。
「あ、そうだ……」
「んぅ、なにっ」
感じながら紫崎を見上げると、ふと何か思い付いたみたいだった。
─ ─ ─ ────
指で解された後は、恋人になってから初めて紫崎と繋がった。
けど、激しいのが好きな俺にしては、ベットのスプリングの軋みは控えめ。理由は。
「んっ……ぁっ、紫崎、これっ、恥ずかしいっ」
「ちゃんと動かないと、気持ち良くなれないから」
顔が熱くて、珍しく楽しそうな紫崎と目を合わせられない。そんな余裕ないくらい、俺はこの体位が苦手だった。
仰向けになる彼の上に跨がって、自らが腰を揺らす騎乗位。
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