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なのに。
「特定の相手居るなら……俺とはダメだろ……」
とてつもなく、ガッカリした。
ドラマとかに使われている崖を見に行ったら、後ろから蹴られたくらいの感覚。
意識はしてくれてるけど、俺と自分が積極的にどうこうなりたいっていう頭は、ないみたいで。
だから、身体だけの関係を脱して、先に進もうと思った。
泊まりに行って、告白しようって。
─ ─ ─ ────
気持ちは伝えられたけど、良い形とは到底言えない。
元彼の話を聞いて取り乱したり、嫌がる皐月さんを無理矢理抱こうとしたり。それに、昔の傷を引き出して泣かせもした。
(他人の事で、こんなに余裕失くすとは思わなかった)
皐月さんと一緒に居ると、俺はいつも通りで居られないのかもしれない。
それが良い変化なら構わないが、悪い変化だと関係に悪影響を及ぼしそうで困る。
年齢差があるから、精神的にも吊り合う様に振る舞いたい。前はそんな風に考えたこともなかったけど、今は背伸びしたい様な気分だった。
また横になると、俺は隣に居る皐月さんを抱き締めて、愛しさや温もりを確かめた。
(……もう辛い想いはさせたくないな)
本気で好きになった初めての相手。そんな相手を腕に閉じ込めて、守ることを誓いながら、俺はまた眠りに落ちていった。
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