つきあいたてのふたり

4/6

147人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
 テレビの天気予報を見ると今日は晴れで、出掛けるにはもってこいの日。  夜のことばかり頭にあって、この後どうしようかなって考えていたら、視線を感じた。 「どこか行きますか?」  その提案がデートを連想させたから、俺の気分は上がって、はしゃぎながら言った。 「行く! じゃあ俺が運転するから、ドライブ行くか!」 「はい。じゃあ……」  はしゃいでいるのは俺だけかと思ったけど、紫崎も積極的に行き先の提案をしてくれた。  彼も楽しそうで、初々しい雰囲気を纏いながらデートの計画を二人で練った。  ─ ─ ─ ──── 「シート、座りやすい位置に直して良いからな」 「ん、これで大丈夫」  朝食を食べて片付けた後、地下の駐車場に行き、紫崎の荷物を乗せて車を発車させた。  隣に人を乗せるのは久しぶりだ。紫崎も俺の車に乗るのは新鮮そうで、俺の運転姿と外の景色を交互に見ていた。 「会社には電車で来てたみたいだから、車持ってないのかと思ってた」 「車で行った方が楽だけど、通勤は運動がてら歩く様にしてるんだよ。あと、会社だと飲みに行く機会もあるから。飲む量は少ないけどな」 「……みんなの前で酔ったら大変だから、いっぱい飲みたかったら俺誘って」 「喜んでそうさせてもらう」  これからは気軽に飲める様になるから、気持ち的には楽だ。  が、少し運転していると、テンションが高ぶり過ぎて頭にいろいろ浮かんできてしまった。 (これからは、こうやって紫崎と出掛ける機会も増えるんだろうな。そしたら……車の中でセックスとかも……) 「っぅー!」 「皐月さん?」  危ない。考え過ぎて身体が熱くなりそうだった。紫崎も不審そうな目してる。 「い、いや……なんでもない」 「顔真っ赤だけど……」 「ほ、ほんとなんでもないからっ! あっ、○イソーもう少しで着くからな!」 (恋人になったから、出来ないこともないだろうけど、だめだっ! 付き合ったからっていろいろ見せ過ぎたらドン引きされるっ!)  雑念を振り払いながら、なんとか目的地の百円ショップにやって来た。  昨日テレビでやっていたことを紫崎も覚えていて、覗きたくなったと二人共意見が合致。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加