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風の音
夏休み最後の日。
宿題を全部終わらせていたので、暇だった。
茜は、友達と遊ぼうと外へ出る。
だが…誰も予定が合わない。
皆宿題に追われていた。
仕方がないので、1人で遊ぶことにした。
「そうだ!公園に行けばだれかいるかも!」
そう、思いついて、全速力で走る。
8月最後の日だとはいえ、まだまだ暑い。
汗をかきながら無我夢中で走る。
「あれ?こんな所に公園あったっけ?」
いつもとは、反対方向に来てしまったようだ。
新しい公園を見つけ、いつもとは違う子と遊べるかもと、ドキドキしながら、公園に入る。
だが、誰もいない。
「つまんない…」そう呟く。
帰ろうとしたら、公園の奥の方から「ガサッ」と音がした。
「なんだろう?誰かいるのかな?」
暇だった茜は、音のなる方へ近づくことにした。
好奇心でいっぱいの足取りは、スキップみたいに軽い。
「たしかこの辺でなっていたよね」
音のなっていた所へ近づくが何もない。
「あれ?おかしいな…」
あたりを見るが、やっぱり何もない。
「なぁーんだ 風が吹いただけか」茜はがっかりした。
だが、またガサガサと、今度は別の所で音がする。
「あっちだ!」
音のする方へ、また走り出す。
「ここだ!」たどり着いたのは、ブランコだった。
だけど何もない。
すぐに、また別の方からガサガサと音がする。
茜は、楽しそうに「次はこっち!」
と走り出す。
今度は、滑り台だ。
とりあえず登って、あたりを見てみる。
だが、何もなかったので、滑って降りる。
「やっぱり風か…何もなかった 帰ろう」
茜はトボトボ歩く。
折角、新しい公園を発見したのに誰もいないのなら、意味がない。
「そうだ!明日、友達とここに遊びに来よう!」
そう思いついて、家に帰る。
次の日、家の前で友達と待ち合わせをし、公園を目指す。
探検のようで楽しい。
だが…探しても、探しても、公園は見つからない。
「ねぇ まだぁー」友達が茜に聞く。
「あれ?たしかこのへんに…」
何度見ても、公園はない。
「本当にあったの?道、間違えたんじゃないの?」歩き疲れたのか、少しイラッとして茜に聞く。
「ホントだよ!ココらへんにあったの!
昨日、滑り台したもん!」
「でも、ないじゃん!」友達が強めに言う。
続けて「もういいよ!帰る!他の子遊ぶから」と言い走って帰ってしまった。
「嘘じゃないのに…」必死に涙を堪えて、歩きだそうとする。
ガサガサ
少し奥で、またあの音がする。
「やっぱりあったんだ!」
嬉しいそうに走り出す。
涙は引っ込んだようだ。
音が、段々と近くなるに連れて、走るスピードが上がる。
「あった!」昨日と同じ所に、確かに公園はあった。
何度も通ったのにどうして見つからなかったのだろう…
明日、「嘘じゃなかった 公園は確かにあった」と、言おう。
公園に入ろうとした瞬間に、強い風が吹いた。
茜は目を閉じてしまう。
風が止み、目を開けると……
公園が無い……
あるのはただの広い草むらだ。
茜は、目を何度も擦って確認するが、公園など無い。
もちろん、遊具も無い。
草木が風で揺れているだけだ。
茜はなんだか、怖くなって、走って家に帰った。
母親に、聞いて見たが、「あんな所に公園はないよ」と言われてしまった。
寝る前に、もう1度考えてみたけどわからなかった。
「何だったんだろ 夢だったのかな?」そんな事を考えながら寝た。
どうして見つける事ができたのだろう?
茜にも分からない。
きっと、いつまでも憶えているだろう。
夏休み最後の不思議な話
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