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6. 御法川
「御法川、どこに行ってたんだ! 皆、心配して探したんだぞ」
野田は立ち上がり、御法川に詰め寄る。
「車掌の仕事を引き継いだ。だから、俺はあの電車に乗らなきゃならない」
野田の問いに、御法川は答えた。
「何、馬鹿なことを言ってる。ご両親も心配しているんだ。帰るぞ」
「いや、もう遅いんだ。行かなきゃならない。戻れないんだ」
御法川はそう言うと改札の方に向かった。
「おい、御法川!」
野田は叫び、追いかけようとした。
しかし、なぜか野田は改札を通れず、御法川を引き留めることができなかった。
御法川は電車に乗ると、淋しそうに野田に微笑んだ。
黒い電車はゆっくりと発車して去って行った。
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