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それと交代するように、緑の髪に白い制服姿の御法川がホームから改札を抜けて来た。十代の姿のままの御法川だった。
「やあ、また会ったね」
御法川は圭祐を覚えていたようだった。
「御法川さんですね? 僕、野田先生、野田一平さんの教え子です」
「そうか。一平は教師になったんだね。まさか君が教え子とはね」
御法川は複雑な顔をした。
「先生は御法川さんのことをずっと心配しています。この電車のことを調べて、御法川さんに会いたいと思ってるんです」
「残念だが、一平には会えない。あいつはもう視えないから。それに電車は今夜、出発するんだ」
「行かなければならないんですか?」
「ああ。この電車の車掌は次を見つけないと辞められないんだ。だから子供の君に出会った時、君が大きくなったら僕と交代させようと思った」
圭祐はぎょっとして一歩下がった。
「はは。大丈夫だよ。今ではもうこの生活に慣れてしまって、そんな気はないから安心して。それに、一平の可愛い教え子をそんな目には遭わせられないしね。ところで」
御法川は一瞬躊躇してから続けた。
「一平は山岸芽衣子と結婚したのかな? その……彼女と一平と僕と三人で仲間だったんだ」
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