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「本庄、どうした?」
――おれのじてんしゃがないんだ――
直接圭祐の頭の中に語りかけてきた。
お前の自転車は事故でグシャグシャだ、と言うのは酷な気がした。そろそろ一周忌で帰ってきたのだろうか。
「家に帰るのか?」
圭祐が聞くと、こくんと肯く。
(しょうがないなあ)
圭祐は自転車から降りると、本庄の前まで自転車を引いて行った。
「ほら、俺のを貸すから、これで帰れ。お父さんもお母さんも待ってるぞ」
本庄が肯くのを見て、圭祐は歩いて校門を出た。
徒歩だと次の電車には間に合わず、八時台の終電になるが仕方ない。
圭祐は駅に向かって歩き出した。
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