4. 夏守駅

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「疲れてるな。まだ入試本番までは長い。頑張りすぎるなよ」  野田が言う。 「はい。先生は? 普段は車ですよね?」 「修理に出しててな。代車でも良かったんだが、たまには電車も懐かしくていいかなと思ってね」  野田は夏守高校のOBで、圭祐たちの学年より20期上の先輩でもあった。 「先生」 「なんだ?」 「今日の講座で話してた夏の終わりの電車のことですが」  圭祐の話に、野田は圭祐の向かいの椅子に座る。 「僕も子供の頃見たかもしれません。黒い電車でした」 「そうか」  しばらく間が開き、「同じかもしれないな」と答えた。 「変な妖怪みたいなのがいっぱい乗ってました」 「同じだ」 「あと、緑の髪の車掌さんみたいな人もいました」 「えっ?」  野田の顔色が変わった。 「詳しく話してくれないか」  圭祐は小一の夏の終わりの話をした。 「その男は俺の親友かもしれん。御法川誠吾(みのりかわせいご)という」    小一の圭祐に名札は全部読めなかったが、三文字の名字で最後が川だった。
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