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第3話 気の休まらない実家
私は東京でOLをしている。実家は群馬県の自然豊かなところにある。いわゆる田舎というのだろうか。
「たまには帰ってきなさいよ~」
母は、いつも私のことを機にかけてくれる。
「ただいま~」
私は、急に実家に帰りたくなって、何も言わずに実家に向かった。
「あら、帰ってくるなら、一言言ってちょうだいよ。ささ、上がって。荷物は居間に運んでおくね」
母は私が帰ると嬉しそうだ。
「お~、帰ってきたのか。おかえり」
父は、とても優しい。子供の頃は、父が大好きだった。いつも私のくだらない遊びに付き合ってくれて、とても嬉しかった記憶がある。いまでもその気持ちは変わっていない。口にするのは、少し恥ずかしいけど。
「いつまでこっちにいるんだ?」
父が私に聞く。
「う~ん、連休が終わったら帰るよ。」
「そうか、もっといればいいのに。仕事大変だな~」
「まあ、そんなにきつい仕事ではないんだけどね。また、時間見つけて帰ってくるからさ。ほら、東京近いし!」
父がさみしそうにしている顔を見るとちょっと切なくなる。
そんな時、母が口を開く。
「ねえ、そろそろ美沙ちゃんも結婚しないとね~」
カチッ、と頭の中で音がした。
「そ、そうだね!いい人いないかなあ~」
笑ってごまかす私。
「私があなたの年齢の時は、もう二人目産んでたわよ」
最近、母は、そうですか、としか言えないようなことを口にする。せっかく実家に帰ってきて、ゆっくりしようと思ったところでこれだ。
「早くいい人見つけなさいよ~」と母は言う。
(そんなの言われなくてもわかってるよ)
私は心の中で呟いた。
こんな感じで最近は、実家に帰っても心の疲れが取れない。
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