第捌話

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第捌話

 華桜は言う。 「遥かな昔から、お前の全ては俺のものだ。何度生まれ変わろうとも、それはけして変わらぬ」 「さあ、捧げよ。お前の甘美なる気を」  叶の眼の前で、華桜の金茶色の光彩が朱く染まっていく。  その瞳には、けして逆らえない。  目蓋を閉じ、おずおずと自ら唇を寄せ、そうっと口づける。  子ども騙しな。  そう言いたげにやや口角を上げたのを、合わせた唇越しに感じた。  そして、それは直ぐ様華桜に寄って激しいものに変わる。  長い舌が叶の唇を割り、口腔内を余すことなく、喉の奥の方まで蹂躙する。  二人の唾液が唇から零れ、滴り落ちる。  苦しさからか、叶の長い睫毛に次々と水滴が溜まり、紅潮した頬に流れていく。  その激しすぎる口づけから逃れようと、顔を動かそうとするが、華桜はそれを許さない。    激しく唇を貪りながらも、華桜は飽くまで余裕だ。その手は叶の肩から寝間をするりと落とす。  露になった叶の白い肌には、先程項に付けたものと同じ、所有の印が此処彼処にある。  白い肌に降りしきる、無数の紅い花びらのように。  片手は頭を押さえられたまま、もう片方の手は背後から伸び、自由に胸許を這い回っている。長い爪で胸の先端を何度も摘ままれ、その度に痛みと共に甘い痺れが背筋を駆ける。  声も吐息も全て華桜に塞がれ、吐き出すことのできない熱が身の内に溜まっていく。  散々胸を弄り回した華桜の手はそこを離れ、腹を滑り、腰の辺りで緩く結んである帯をくぐる。  白い寝間の下は何も履いてはおらず、もう既に擡げ始めている昂りは、易々と彼の手に封じ込まれた。  夢から覚めたかのように、はっと瞳を見開く。  そして、己れの熱に触れている腕を、ぎゅうっと掴んだ。  そうされて、漸く長い口づけを止め、叶の顔を覗き込む。 「ーーーーーーーーーーーーーーーー」  声が上手く出ないのか、口だけをぱくぱくと動かしている。  だが、華桜は、それだけで心の内を読み取った。 「何故拒む? ──に呼ばれたのは、まだ睦合い始めたばかりの頃。お前も、まだ満足してないだろう?」 「ここも」  その手にしていた昂りに、きゅっと力を込めて。 「それから、ここも」  空いたもう一方の手で裾をたくし上げ、滑らかな尻を撫でる。指の腹で後口のつつく。 「ん……っ」  叶は一瞬悶えたが、ぶんぶんと激しく首を振った。そして、また。 「ーーーーーーーーーーー」 「ここでは、嫌だというのか?此処には、もう誰も居らぬ、俺とお前以外は。誰にも見られはしない」  もう一度、激しく首を振る。  今度は声にする。 「い、や、だ───だって……桜が、見ているから──────」
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