第1話・第2福「ふくりんとおじいちゃん」

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第1話・第2福「ふくりんとおじいちゃん」

「大福ふくふくふくちゃん2」登場人物紹介 1. ふくりん スイーツ妖精村の大福妖精族の男の子。いつも元気いっぱい。 ふよふよもち肌の7歳。あんずおばあちゃんが好き。 友達にようかん妖精族のようくんがいる。つぶあんの白大福。 2. お母さん ふくりんの母。大福妖精族。苺大福。 料理上手の色白ママ。 3. おじいちゃん ふくりんの祖父。大福妖精族。よもぎ大福。 おばあちゃんが他界してから元気がない。 🌺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌺 ある日の、小学校からの帰り道。ふくりんは、橙色(だいだいいろ)の夕陽に照らされながらぽてぽて歩いていた。 空も、グラデーションが、掛かった綺麗なオレンジ色に染まり、シオカラトンボも飛んで 道端の赤い彼岸花が、風に吹かれて揺れている。 暑い頃から、秋の季節に変わる頃のスイーツ妖精村。そんな、風景の中をふくりんは行く。 ふと、立ち止まり、あんずおばあちゃんの駄菓子屋を横目で見た。 寄って行こうかとも考えたが、お母さんが待っているし明日にしようと思った。 ふくりんは、茶色や白のきのこ型の家が並ぶ。住宅街に入り歩いて行く。 そして、赤くて、丸いきのこ型の家の前でふくりんは、止まった。 「ただいま~!」 ふくりんは、家に着くとドアを開けて玄関に上がった。 「お帰り、ふくちゃん。今日は、学校どうだったの?」 水色のエプロン姿の、お母さんが奥から、出てきてふくりんに聞く。 お母さんは、苺大福妖精だ。 「今日も、ようくんと遊んだふく~」 にへへと嬉しそうに笑う、ふくりん。 ようくんは、ようかん妖精族の元気な男の子で、ふくりんの友達だ。 「そういえばね。今日は、新しい友達が出来たふくよ。マカロン妖精族のロンちゃん。とっても、可愛い女の子だったふく~」 ふくりんは、少し頬を赤く染めた。 ふくりんは、部屋の机の上にランドセルを置くと、縁側に行って見た。 そこには、ふくりんのおじいちゃんが座って、庭を見ながら冷たい麦茶を飲んでいた。 ふくりんのおじいちゃんは、よもぎ大福である。 「おじいちゃん。ただいまふくっ!」 「おお、お帰り。ふくりん。今日も元気かの?」 「元気ふくよ。おじいちゃんは?」 「おじいちゃんも、元気だけど。肩がこってな。」 おじいちゃんは、右肩をとんとんと叩く。 「じゃあ、ふくが肩たたきするふく~!」 「ありがとのぅ。ふくりん。」 ふくりんが、おじいちゃんの肩を叩いている。 おじいちゃんの部屋には、仏壇があり、おばあちゃんの位牌と写真が飾られている。 おばあちゃんは、ふくりんが、5歳の時に他界してしまった。 いつも、元気に見えるおじいちゃんだが。その頃から、おじいちゃんは時折、寂しそうに溜め息を吐く時がある。 ふくりんは、それを心配していた。ふくりんも、出来ればもう一度、おばあちゃんに会いたい。 でも、おじいちゃんが、悲しむので言うのを我慢しているのだ。 ふくりんとおじいちゃんは、秋の草花が咲いて来た。庭を眺めた。 秋の虫の鳴き声も少し、聴こえるようになっている。 「もう、秋だなあ。ふくりん」 「そうだねえ。おじいちゃん」 「ばあさんも、秋が好きじゃった…」 おじいちゃんが、ぽつりとつぶやき、ほろりと涙がこぼれる。 ふいにふくりんは、おじいちゃんまでいなくなってしまう気がして、不安感に襲われた。 「おじいちゃん。おじいちゃんには、ふくもいるし、お母さんもお父さんもいるふく。おじいちゃんまで、天国に逝ったら。ふくは、泣いちゃうふく~」 「わああ~ん!!!」 どうしようもなく、寂しくなったふくりんは、おじいちゃんに抱き着いて泣き出してしまった。 「ふくりん…」 涙が溢れるおじいちゃん。 その時、どこからともなく。風に乗って声が聴こえて来た。 なにをしてるんだい!ふくりんを泣かすんじゃないよ。しっかりおし。あんた! ふくりんの耳に、おばあちゃんの声が、聴こえてきていた。 それは、おじいちゃんにも、聴こえたようだ。 「おじいちゃん。いまの声?」 「ああ、ばあさんの声だ…。わしにも、聴こえた。」 二人は、キョロキョロと辺りを見回すが。誰もいない。 すると、おじいちゃんは先程とは打って変わって。大笑いを始めた。 「わっはっはっは!ばあさんがあの世から、わしを叱りに来たわ!」 その大笑いに、びっくりするふくりんだったが。少し、ほっとして胸をなでおろした。 その日から、おじいちゃんは、寂しそうに溜め息を吐かなくなった。 これまでより、生きる気力を取り戻したようにも、見える。 「おばあちゃん。ありがとうふく~!」 ふくりんは、空の彼方に向かって、声を掛けて手を合わせた。 〇おわり〇大福ふくふくふくちゃん2~第2福「秋の気配が聴こえるふく」 🌺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌺 4. おばあちゃん ふくりんの祖母。大福妖精族。豆大福。 気が強いが、温かいおばあちゃんだった。 ふくりんが、5歳の頃に他界した。 🌺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌺 最後までお読みいただきありがとうございます。 前作「大福ふくふくふくちゃん」もよろしければお願いします。
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