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宣告
――余命宣告をされたのは、秋が深まった頃だった――
「先生、こんにちは〜」
私が勤務する音楽教室に通って来る子ども達が、レッスン室に次々に入って来て、電子オルガンの席につく。
この時間は、小学1年生7人の子ども達のグループレッスンだ。
全ての子ども達が電子オルガンのスイッチを入れ、音量の設定をして、レッスン開始の準備ができているか、一人一人に話し掛けながら席を回りチェックをする。
ふと、ある女児の頭のアクセサリーに気付いた。
ポニーテールに結った髪のヘアゴムにハロウィン仕様の黒猫の飾りがついていた。
「結菜ちゃん、それ可愛いね」
他の生徒に聞こえないように、彼女の耳元に小声で話し掛ける。
彼女は顔を上げて私を見ると、はにかんだような笑顔を見せた。
…そっか、今日はハロウィン。
誰かのお祝いという訳ではないが、帰りにケーキを買って、夕飯のメニューは……
などと考えていたところで、腕時計が「ピピッ」と3時ジャストを告げた。
「さ、レッスン始めるよ〜」
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