夏雲が悲しく見えてしまうのは

理解者

父は、とにかく型破りな人だった。
本人や親族から聞いた過去の話も、私が実際に見て来た父も、全く平凡ではなかった。

大学で英語を学び教員免許を取ったが、教職には就かず、商社に就職し好きな英語を生かし世界中を飛び回りたい……と夢見ていたらしい。

それにも関わらず、就職活動の時期、友人に「自衛隊の入隊説明見学会に行かないか？」と誘われ、アッサリと陸上自衛隊に入隊した。

過去に聞いた話なので正確には覚えていないが、三日三晩ほどかけて雨風に晒され、課題をクリアしながら山中を歩き続ける訓練をしたり、
ヘリコプターからワイヤーロープに吊るされて、人命救助をしたり、様々な訓練や経験をしたと聞いた。

何がきっかけだったのかは知らないが、数年勤めた自衛隊を辞め、高校の英語教師になったが、自衛隊の訓練で覚えたスカイダイビングが趣味になり、チームを作って活動していた。

そのまた数年後、職場の高校で、先輩教員から共同経営の話を持ち掛けられ、起業。
結局それが、世間で言う定年退職の年齢頃までの仕事となった。