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立派な格好は、王都の宮廷薬師さん。 嫌な予感がした。 直後、お父さんの声が響く。 「お前は宮廷薬師さまに嫁ぐんだよ。次の春、お前が成人したら祝言を上げる!」 さまざまな事が脳裏を駆け巡った。隣村からお婿さんを迎えるのは、村同士のつながりを強くするため。森の富を分け与える代わりに、ドラゴン退治の人手を出してもらう約束だった。 けど、王都の人と結婚するってことは。 お父さんとお母さんが嬉しそうに話しだす。 「これでうちの村はもっと大きくなるわね」 「ああ、豊かにもなるさ。見ろ、この銃を。やっと、ドラゴンから森を取り戻せる。春に戻ってきたら見てろ、追い払ってやる!」 「だめですよ。お約束は、一網打尽だったでしょう」 にこにこと笑いながら会話に入ってきたのは、宮廷薬師さんだった。 お父さんと話しを終えて、私を見る。 ひんやりとした笑顔だった。 「ドラゴンの爪や牙は良い薬です。しかも、高く売れる。鱗も。翅も。皮も、骨も、肉も、内臓も。ドラゴンに捨てるところなし、ですから」 南の地は他国で手出しできない。アンビーチェ村の森での捕獲が一番良い。そんなことを、楽しそうに教えてくれる。 その全てに、気持ちが全く追いつかなかった。 王都は武器を出した。つまり、次の種まきの季節、アンビーチェの村人たちが、ドラゴン狩りの兵隊として駆り出されてしまう。 ああ、でも、銃があれば。きっと大丈夫──ほんとうに? ほんとうに大丈夫なの? めでたい! と館が湧けばわくほど、私の心は冷えていった。
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