若頭補佐 副島の華麗なる日々 1

1/3
前へ
/31ページ
次へ

若頭補佐 副島の華麗なる日々 1

 龍神会若頭補佐、副島暎皓(あきひろ)の朝はいつもは早い。  だいたいニューヨーク市場は開く時には起きている。睡眠時間はほぼ三時間。だが時折今までの分を取り返すかのように眠ってしまう時がある。そんな時はだいたい十二時間は眠ってしまう。今日がその日だった。  そういう時はだいたい身体が怠くなる。副島は頭を掻きながらノロノロと起き上がった。時計を見て軽く舌打ちをする。どう考えても寝過ぎだ。そのまま立ち上がってキッチンに向かい寝ぼけまなこでコーヒーを淹れる。そしてそのままバスルームに向かった。そして着ていたTシャツとボクサーパンツを洗濯機に投げ入れた。  よくシルクのパジャマを着て寝てるとかバスローブを着用してるなどと言われるが、どちらもほとんど使わない。そもそもシルクのパジャマは洗濯が面倒だし、バスローブはなかなか乾燥しない。つまり不経済だ。だいたいはTシャツとハーフパンツで過ごす。  寝過ぎた日はシャワーを浴びるまでは頭が働かない。バスルームに置かれている物は質素なものだ。香りが強いものでなければ何でもいい。副島は香水を好む。クリードのアヴァントゥス。英国王室御用達というのとラッセル・クロウが愛用しているということで選んだ。なかなか悪くない香りだ。それを邪魔するような香りは好ましくない。  シャワーが済むとお気に入りのバスタオルを使う。バスローブには興味はないが、バスタオルは別だ。バスタオルはイギリスから直接買い付けている。毛足の長い高級品だ。それで身体の隅々まできっちり拭き上げると洗濯機に投げ入れた。そのまま洗濯ボタンを押す。  真新しいTシャツとボクサーパンツを着用するとキッチンへ向かった。コーヒーのいい香りで満たされている。副島はコーヒーをお気に入りのカップに注ぐと、音楽をかけた。こんな日はマイルス・デイヴィスのSo Whatに限る。副島は暫くの間ソファに座りコーヒーを楽しみながら音楽に身を委ねた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

332人が本棚に入れています
本棚に追加