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夏の終わりに
あの日、あの時に戻って、もう一度出会い直したい。
それができたなら、僕はキミを救うことができたかもしれない。
そして、あの夏の終わりに戻れたなら、キミに好きだと伝えたのに……。
僕の名前は高梨蓮、名古屋の公立高校に通う高校3年生だ。
周りは受験勉強をしていると言うのに、僕は意味も分からず毎日を嘆いていた。
今日が過ぎれば明日が来る。明日が過ぎれば明後日が来る。
そうやって毎日が過ぎていくだけ。
ただただ過ぎていくだけだった。
唯一の楽しみといえば、SNS上での友達と絡むことだった。
夏休みになり世間がお盆休みになる頃、SNSで仲良くなったメンバー4人とオフ会をすることになった。
家族は毎年のように母の実家の岐阜県に帰省していた。だから僕はそのタイミングで「友達の家で勉強会をする」と親に嘘を付き、夜行バスに乗って東京に向かった。
早朝の新宿の街は、疲れきった顔をして僕を睨んでいるようだった。晴れているのにどんよりとした空気に包まれ、湿っぽさが肌に纏わり付いた。
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