彼のお願い

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テーブルに行って先に置いていたコップにお茶を注いで、彼がいつも座る場所に置くと、それに釣られて彼がテーブルに来て、いつもの場所に座った。 自分のコップもお茶を注いで、手に持っていつもの場所に座った。 いつもと違う雰囲気からか、無言でお互いお茶を飲む。 ちょっとすると彼が話し出した。 「なんな、話の前に先にお願いがあるねん。僕の話聞いたら、言いたいこと、聞きたいことあると思うけど、何も聞かんと黙って、とにかく僕の言う通りにして欲しいねん」 そう言って、ばっと頭を下げた。 『えっ?どう言うこと?言ってる意味わからへん』 何を言い出すんや…と困り顔で彼に伝える。 「カナがそう言うの分かっててん。でも、その上でのお願いやねん」 もう一度頭を下げる。 (その上でのお願いって…)うーんと悩む。 『その願いをきかへんかったら話が進まへんの?』 と彼に確認してみると、私をじっと見つめて頷く彼。 そんな彼をじっと見返す。 真剣な表情を見て、気持ちを固める。 『分かりました…そなたの願い、受け入れましょう』 と、少しおどけて明るく彼に伝えてみた。 すると、彼なりに緊張していた様で、私の返事を聞いてほっとしたのかおどけて話し出した。 「ありがたきお言葉。我は幸せに存じます…カナ様のおかげで、本題に入れます」 ははーっと恭しく頭を下げる。 頭を上げた彼と目が合って、お互い微笑み合う。 でもすぐに彼が真顔に戻って予想だにしない事を言った。
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