三つの理由

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三つの理由

「まず、放置にしていた理由…正式に二人で挨拶行く前に水面下でカナの両親から結婚の許可貰いたくって、実家通いしててん。 カナ、大事に大事に育てられた一人っ子娘やから、お父さんカナのことむっちゃ溺愛してるし、説得するのにほんま時間かかった。丸二ヶ月ほぼ毎週カナの実家に通っててん。 三ヶ月目に漸くオッケー貰えてた…どう?これで納得できたかな?」 同意を求められて、こくこく頷いた。とにかく予想外の話で、頭がついていけてない…。 「次は、部屋の鍵一旦返した理由…説得に失敗して、心が折れてしまったらカナに会いたくなると思った。 会いに行ったらたまたま留守やったとして…鍵持ってたら入れるやん。 勝手に入って、カナの匂いがむっちゃするのたぶんベッドやんか。 折れてしまった心を癒すのにベッドに入ってシーツの匂いくんくん嗅いだり、枕抱き締めて、やっぱり匂いくんくん嗅いだりして、変態チックになるの分かってるし、変態チックにならへん為に鍵返してん…分かるような分からへんような理由やけど、いちよう納得できた?」 同意を求められたけど、大好きな人やったら変態チックでもいいのに…と思う自分もいて、すぐに頷くことが出来なかった。 同意をしない私を見て、焦る彼。 「えーっと、これ以上どう説明したらいいか、教えて?」 『えっ?説明?説明やったら、十分説明してもらったし、しなくていいで?』 「えっ?そしたら何が納得出来ひん?」 真面目な話をしてる時やけど、真剣な目で見つめられて、ちょっと嬉しいなぁ。 『えっ?納得出来ひんとこ?んー…納得できひんっていうか、大好きな人やったら変態チックになってもいいのになって思ってん』 私の意見を聞いて、ちょっと赤い顔をしながら「そうなんや…変態チックになってよかったんや…」と小声でぶつぶつ呟いていたのは、見なかった、気付かなかったことに…。
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