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「えーっと、結局鍵の件もオッケーってことでいいかな?カナ?」
気を取り直して聞かれて、こくこく頷いた。
頷いたのを見て、ほっと息を吐いた彼。
「えーっと、あと指輪の返却の件やけど…」
これは、特に聞きたかったことやから、即大きく頷いた。
大きく頷くのを見て、私の気持ちを察したのか済まなそうな顔をして話し出した。
「ごめん…これから先話したらよかったなぁ…ごめん。
カナがずっと身に付けてる指輪をお守りって言うか心の支えに持ちたかってん。
ただ、その理由だけ…そんな理由で、返却して欲しいって言ってん。
でも、それが一番カナを傷つけてしまってんなぁ。よく考えたら、女の子にとって指輪って大事やんなぁ…。ごめん…悪かった」
そう言うと、頭を打ちそうな勢いで、頭を下げた彼。
『あ、頭上げてな?理由分かったし…ね?』
と言いながら…(返却の理由が…心の支えって、どんだけ私のこと好きやねん…照れるわぁ…)って思ってしまって…あかんあかん、きっとヤバイ顔になってるわ!
私に言われた通り頭を上げた彼が、きょとんとした顔で私を見ていた。
「どしたん?なんか顔、ヤバイことになってるで?」
『えっ!やっぱりヤバイ顔になってる?…いやいや、ヤバイ顔になってても、特になんにもないで?』
「そうなん?」
『気にしてくれて、ありがとう』
「それやったらいいけど…」
んー…と納得してるような納得していないような微妙そうな…そんな彼の表情から一変、急に真剣な顔つきになった。
これはただ事ではないと、私も顔を引き締め、背筋を伸ばす。
残り少ないお茶を飲んだ彼は、イスから立ち上がって、ジーンズの右後ろポケットの上を右手で軽く触った様子。
そして、テーブルを半周して座っている私の横に来て、膝立ちをした。
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