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「ハル、シイ、秋ちゃんにもわかるように説明するようにね?」
…あたしはアンタに聞きたかったンだけど?…まあ、いいや、美少女に聞く方があたしも気持ちが良いし
じゃあ、ハルちゃんから詳しく教えてくれる?
「はい!もちろんっす!秋さんにもちゃんと通じるように説明させてもらうっす!」
嬉々としてМG42について説明を始めてくれるハルちゃんに、内心この娘に尋ねたのはとんでも無い過ちだったことに思い至っていた
背後で今日何度目かの大きな溜め息が聞こえてきたような気がしたが、あたしは聞こえなかったふりをすることにした
「…ってことなんすよ、秋さん!気をつけないと自分の足を撃っちゃうっすからそこだけは要注意っすけどね〜」
南国の秋の陽射しの下、ハルちゃんからの詳しい説明が終わったのは、たっぷり10分は経っていた…
確かに陽射しはそこまで強くはない…あたしやネコの生まれ育った関西ほど湿度も高くはない…が、ここは日本国でも南端に近い島なのだ…風が吹くとは言え、それなりに暑い…
まずい…これは非常にまずい…
あたしと美優ちゃん以外のここの面子は、「そっち方面」の人間なのだった…
これをあとシイちゃんにゆかりちゃんに泰子ちゃんに優花ちゃんに…4人から聞かされるハメになるってか…?
…をい、バカネコ?笑いを堪えてないでどうにかする方法を提案しろや!
…まさかこいつ、こうなることを予想してやがったのか?いつの間にニュータイプに覚醒したんだ?
「シイ、秋ちゃんが熱中症になっちゃうから、マクミランの説明はまた今度ね?」
振り返ると満面の笑顔の恋人…こ、こいつ…
「ん」
言葉少なに差出してきたのは、あたし愛飲のスポーツドリンクのペットボトル…
あ、ありがと…
普段は杖しか持っていないはずの右肩には、見たことのないクーラーボックス…
ねえネコぉ?
思っていたよりも付き合い出した時に近い、甘え声が出せた
…と思う…
「…秋ちゃん、時間だけはたっぷりありますから、焦らずゆっくりインタビューしていきましょうよ?ね?新曲作りなら、夜の浜辺にもお付き合いしますし、ね?必要なら、冴香さんにも来てもらったら、ね?」
そう言いながらあたしを椰子の木陰に誘ってくれるこいつは…本当に「悪いネコ」だ…
他人に縛られたくないあたしが、不思議とネコの言葉には従って、お茶飲んだり休憩したりしてしまうのは、実はこいつに操られてるのかも…
でも、この感じ…悪くない
ううん、好きだ…あたしの事を昔と同じに気遣ってくれるこの感じ…
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