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「え?猫さんに不満ですか?取り立てて思い当たるフシは…敢えて言うなら、冴香さんに甘過ぎる事くらいですかねぇ…まあ、あたし達も怒られた事は過去にもありませんし…怒りっぽいのは冴香さんですし…美優ちゃんは何かある?」
ここは力関係?がはっきりしているようで、お姉さん格の優花ちゃんが先に答えてくれ、続きを妹分の美優ちゃんに振っている
後ろでネコがそれ、冴香さんにバレたらご飯抜かれますよ…そうボソリとつぶやいた
そうか、冴香ちゃんにだけ甘いのか!それ少しで良いから秋ちゃんにも分けなさいよ!
「うーん…猫さんに不満…ゴミの分別間違えても怒られませんし、コップやお皿割ってもあたし達が怪我でもしてないか?飛んできて心配してくれますし」
話しを振られた美優ちゃんはちょっと考え込んだモノの、あたしの期待したような答えは返って来なかった
…いや、ちょっと待て。コップやお皿の件はまだしも、ゴミの分別くらいこの秋ちゃんだって間違わないぞ?何だかこのトシの離れた妹分二人の未来が急速に心配になって来たぞ?
「専属の看護士として敢えて言いますと」
お♫何か期待出来そうな予感♫
「優花さんも仰ってましたけど…怒らない事が不満と言うか不安と言うか…人間って喜怒哀楽の4種類の感情があるはずなのに」
…をいバカネコ、要するにあんた人間らしくないって言われてるんだぞ?
ん?でも言われてみればあたしもコイツが怒ってるの見たことないぞ?呆れてるのはしょっちゅう見たけど
あ、優花ちゃんも頷いてるぞ
「人聞きの悪い事を言わないでくださいよ〜?僕にだって怒る事くらいあるんですからね!ここの皆に怒る理由がないだけなんです!」
あたしの頭越しに悲鳴にも似た抗議の声が飛んでいる
「あ!あともうひとつ!どうして猫さんの周りには胸の大きな女の人ばかり集まって来るんですか!これは秋さんもですけど!あたしと優花さんが悪目立ちしてるじゃありませんか!」
…それはあたしもそう思うんだけど…冴香ちゃん筆頭にハルちゃんやシイちゃんに至っては、何処のグラドルだ?って言いたいくらい大きいぞ!
ただ…あたしにまで飛び火してきたのは予想外だった!
「そうだそうだ!何で猫さんを好きな人は巨乳な女の人ばかりなんですか!美琴さんやあゆみさんと美優ちゃんは兎も角!そこに秋さんまで加わって、美優ちゃんが小さいのが目立ってしょうがないじゃないですか!」
おおっと…これは風向きが悪くなって来たぞ?あたしなんか日本人女性の平均よりちょっとあるだけだぞ…
いや、それよりどうやって切り抜けよう…
「こ、こ、これでも少し大きくなったんです!冴香さん達ほどじゃないけど!ゆ、優花さんの方こそどうなんですか?」
…論点が微妙にズレて来たような…
と、ネコがあたしの右腕を掴んで、そろそろと後退りし始めた
どうやらこのスキに逃げ出そうと言う事か?
それならあたしも大賛成だ!
こうして椰子の木陰で揉め始めた末妹二人の追求から、無事に抜け出す事が出来たのだった
…コイツ、相変わらず逃げるタイミングだけは心得てるな…あたしにそう思わせながら
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