1人が本棚に入れています
本棚に追加
冴香の場合
「はあ?お子様ランチ作るのに使った?…ちょっと待って?そんなメニュー、うちには無いですよね?詳しく説明してくださる?」
怖っ!
卓袱台前に座らされたネコが詰められてる…
食材が減ってるのを確認した冴香ちゃんのお怒り具合と言ったらもう…
怒ると微妙に棒読みになるんだ…
何に使ったのか?こいつがどんな言い訳するのか?あたしも興味はあるけれど?
「ですから、何処かの特殊部隊が乗り込んで来たのを撃退する手伝いをしてくれた娘達に振る舞ったんですって!一晩中働いてくれましたし、僕の出番がなかったので、それくらいは…ね?」
「…それってまさかと思うけど…未成年の女の子達、じゃあありませんよね?」
「いえ…そのまさかなんですけど…ハルやシイのレベルには程遠いですが、どこの国の特殊部隊とも五分には戦えるくらいに育ってましたよ…悲しいハナシですが…」
ネコの表情は見えなかったけど、何だか悲しそうに聞こえたのは、あたしの気の所為だろうか
冴香ちゃんはと言うと…口をパクパクさせてはいたが、ネコの言葉の意味がわかったのだろう、はぁ、と特大のため息をひとつ
「…で、お子様ランチは好評だったんですか?」
ほ
いつもの冴香ちゃんに戻ってる!
いやあ、正直さっきまでは殺気だけであたしまでやられるかと思ったもん!
教訓 普段優しい人が怒ると何よりも怖い!
「ただ、食べ方がわかりにくかったみたいで…ハルとシイにお手本を…フィンランドではああ言うデザートも肉料理も魚料理も一度に出て来ないので」
まぁ、そうだろな
あたしだってフルコース料理が一気に出て来たら…友達の結婚式でしか食べたことないけどね…食前酒から順番に出て来るもんね~
それでハルちゃんとシイちゃんに…ってワケだったか
「ところで描さん?私は描さん特製のお子様ランチって見たことも食べたこともないんですけど?…秋ちゃんはある?」
おおっと!
冴香ちゃんがジト目であたしを見てるぞ?
ないない!冴香ちゃんが見たことないのにあたしが食べたことあるわけないじゃん!
「私も食べてみたいですね~、描さん特製のお子様ランチを?ね、秋ちゃん?」
うっ
冴香ちゃんが怖い…これは遠回しに作れって言う意味なんだろう…
勿論あたしも激しく首肯しておいた
「じゃあ今夜は皆、お子様ランチにします?河田さんも安立さんもおられますし、当番は僕なんだし…あ、海老フライと白身魚フライ、どちらかリクエストしてくださいね?デザートは…インスタントのゼリーで許してください…じゃあそう言う事で!」
…ネコがキッチンに入った…カメラを卓袱台に残して…
何か…いつも以上にテキパキ動いてるような…
まるであたし達からの追求を逃れる為に…
最初のコメントを投稿しよう!