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どうして、こんなにも心が、苦しいのだろうか。
息をする事すらも、ままならない程に、
心が、重みでどうにかなりそうで、
私は、彼女のその表情から、目を背けるように、俯いた。
「また、そうやって、目を逸らすんだね」
花火の熱が、指先にまで届いて、やけに熱い。
「そうだね」
「あのさ……」
彼女が、笑いながら、何かを言った。
「…………」
本当に笑っていたのか何て、俯いたままの僕には、分からなかったけど、きっと、いつもの様に、彼女は、笑っていたんだろう。
「………」
降り注いでいた雨は、突如その勢いを強め、屋根に打ち付ける沫の音と、散り際の激しい火花の音が、辺りに木霊して、煩かった。
「……」
海の香りを運ぶ風が、一瞬、僅かに吹き荒れて、
手元で、パチパチと弾ける僕の線香花火が、小さく揺れた。
ー風のせいだ。
そんな事を考えていた、私の目の前で、
青い、小さな光が落ちた。
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