エアコンは知っている。

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 くそったれめ、何で俺がこんな目に、という言葉が今日は朝から離れない。  夕方の蒸しかえるような暑さの中、市民図書館から徒歩で帰宅する。どうして俺が、閉館時間まで図書館いなければいけなかったのかを改めて振り返る。  理由は簡単で、本日9月13日、まだ秋が来ないこのクソ暑い時期に、エアコンがぶっ壊れたからだ。流石にこの暑さの日中をエアコン無しの室内にいたら死ねるので、外出せざるを得なくなった。  今朝7時頃、寝ていられないほどの暑さに気分最悪で起きると、つけっぱなしにしていたはずのエアコンが止まっていた。リモコンを操作してもエアコンが動作しないので、急いで寮の管理会社に電話し、エアコンの業者からの折り返しの電話があったのが9時半。  業者に言われるまま室外機と室内機を確認したところ、何処かの回線が焼き切れたらしく、簡単に言えば寿命だということだ。  そして俺としては、一秒でも早く新しいエアコンを設置して欲しいのだが、寮で全ての部屋にエアコンがある以上、最新の機種を一つの部屋だけに設置するのは問題があるらしく、色々と管理会社と折り合いをつけなければならないという。  そのため工事は明日以降で、暫くはエアコン無しで過ごせとのことだ。そんな相談は壊れる前にやっておけと、ただただ思う。昭和の時代の不手際具合だろ、今は令和だぞバカが。  まだ空は明るく、風がなく、暑いので言葉選びが乱暴になるが、頭の中なら誰も咎めたりはしない。  とにかく、エアコンがかからない今の寮に戻るのが憂鬱だ。昨日は出かけて疲れていたから今日はゆっくりしたかったのに、散々だ。  管理会社や寮自体に文句を言ってもいいのだが、労力に対して得られる報酬が大したことないことが分かっているので、従うことを選ぶ。あと1週間頑張ってくれれば、気持ちよくおさらばだと言うのに、どうして今なんだクソ。  ご機嫌だった昨日の夜から一変して、今日は何も考えていないすぐ憂鬱になる。  昨日の夜は友達と出かけて意味もなく都会を歩き回って、酒と飯を喰らって胃腸を傷つけた。モテない男同士、気の合ういい友達だ。部活動でもゼミでもなく、ただ一年生の時に授業で知り合っただけなのに、ここまで関係性が続くとは思っていなかった。  結局学生の間に将来を誓い合う女性を作る、なんてことは出来なかったが、あの友達は宝物と言えるかもしれない。それに彼女こそいないが、あっちの卒業は一応出来たから、まぁそれは今後に活かすとしよう。
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