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「気がついたらね、ここにいたの。自分が生きているのか、死んでいるのかも分からなかった。ずっとこのままなのかなって、少し、怖かった。そんな時、内田くんがあたしを見つけてくれたんだよ」
真っ直ぐ、陽の光に透けてしまいそうなくらいに弱々しい杉崎さんの姿に、僕は胸がぎゅっと詰まる。
「杉崎さん……なんか、消えそうじゃね?」
今まで色を纏っていた杉崎さんの体が、徐々に薄れていく気がした。
「楽しかった、だからもう、いいかな……」
力なく笑うと、杉崎さんの声は外の蝉の声に負けてしまうくらいに小さくなって、聞こえづらくなった。
「泣けよ!!」
両手をギュッと握りしめて、僕は思い切り叫んだ。
「泣けって!! 泣いて泣いて、うるさいくらいに泣き喚け! それしかないだろう? 気づいてもらえ! なんもしないで終わりを迎えるなんて、そんなの悲しすぎるだろ!」
杉崎さんを見つけて、今日で七日目。
「うるさいなって嫌がられるくらいに泣けよ!僕、杉崎さんに後悔してほしくない! 僕だって前向きになろうって思えたんだ! 君のおかげなんだよ。だから……」
泣き喚いているのは、僕の方だった。
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