2 永井むかつく

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2 永井むかつく

 そのアメをもらったのは、先日、予備校から帰ろうとしたときだった。  夜子は駐輪スペースにいた。  生徒の自転車がごちゃっと停まっているスペースだ。  かろうじて屋根こそあるが、輪留めはついていない。  蛍光灯の光を頼りに自分の自転車を見つけた夜子は、  次の瞬間、驚いて大声を上げた。 「ほわあああっ」  自分に向かってガチャガチャと自転車が倒れこんでくる!  夜子は両足をふんばって衝撃に耐えた。 「うそ。いまの声、野々宮さん?」  どうにか押し返した時、場違いなほど明るい声がした。 「いつもクールなのに意外と野太い声だすんだね」    そう笑ったのは、永井 清純(きよすみ)。  同じ予備校に通う、同級生だった。
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