3 エネミーくるみー

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3 エネミーくるみー

 下駄箱の名前シールが、また剝がされている。  夜子はハァッとため息をついた。  こんな地味な嫌がらせをするのは、同じクラスの田中くるみだろう。  くるみは明るい茶髪にリスのような前歯の目立つ女子だ。  夜子のことを無視したり、こんな風に嫌がらせしたり、  やたらと当たりがきつい。  原因は思い当たらないが、愛想の悪い自分のことだ。  なにか気がつかないうちに機嫌を損ねたのだろうと察しはつく。  夜子は何をされてもうるさいハエくらいにしか思わないのだが、  最近は向こうも頭が回るようになったのか、  夜子の友達にまで嫌がらせするようになったのが厄介だった。
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