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陽だまりのように暖かく、僕を包み込んでくれた。彼のあまりの居心地の良さに、僕は意識を手放してしまった。
目が覚めると、なぜかふかふかのベッドの上だった。僕が、呑み込みができずに困惑しながら起き上がると急に声をかけられた。
「何をしている」
「えっ……」
声のした方を見ると、僕に声をかけてくれたウォルター様が眉間にしわを寄せてなにやら機嫌が悪そうだった。
そして、ため息をつきながら読んでいた本を閉じると僕の頭を撫で始めた。僕がもっと、混乱していると彼が怒り始めた。
「なぜ、こんなに怪我をしている」
僕の家は貧乏だったから、物心ついた時から働いていた。それでも、貧しくてもどんなにお腹を空かしていても優しい両親が大好きだった。
でも、周りの同世代の子供たちが魔法が使えるようになっていく度に両親の僕に対する態度は日に日に酷くなっていった。
終いには、父さんからは何度も殴られた。母さんは、そんな僕らを見て軽蔑したような目線を送ってきていた。
それでも、僕が魔法を使えるようなればまた前のように笑い合えると本気で考えていた。でも、結果は売られてしまった。
全ては僕が、魔法が使えなかったからである。だから、もし嫌われてここを追い出されるなんてことがあったら今度こそ只では済まなくなってしまう。
「えっと……その、すみ」
「――――なぜ、謝る」
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