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「やった! あの子と同じクラスじゃん」 「うわ、またあいつと同じクラスかよ」 自分の名前を前方に集まっている人の隙間から探し出し、教室へと向かった。 教室内には出席番号順に割り振られた席順が貼り出されており、それに従って机に向かう。 「やった! また同じクラスだね。」 「ね、最後の1年よろしくね」 「俺はお前と同じクラスとか最悪だわ」 「それはこっちのセリフだし! あんたと一緒なのは最悪だから」 そんな会話が飛び交っているがその中に私はいない。 私は空気のように教室に存在し、誰にも話しかけられることのない幽霊部員ならぬ幽霊クラスメートなのだ。 ドン 「あっ、ごめん」 「大丈夫」 座っているのにぶつかられるのはなぜだ。 私は本当に幽霊のように透けてしまっているのか? 「ねえ、あいつ誰だっけ?」 「知らね、同じクラスになるの初めてだと思うし」 ひそひそ声のつもりなのだろうが、しっかりと聞こえている。 そして言いたい。 「3年間同じクラスでしたけど?」 ・・・・・・そんな事言っても仕方がない。 どうせこの学年で私の事を認識している人なんていないだろう。
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