0人が本棚に入れています
本棚に追加
この調子ではとても頂上まで体力が持たない。迂回路を使いながら頂上を目指そうと思い看板の隣にあるベンチで少し休憩する事にした。
ようやく呼吸が整ってきた所で幼稚園生ぐらいの女の子が目の前を通りすぎ、看板を眺めていた。
迂回路の方からその子は来たのできっとそっちの道ならば由夢と同じ年頃の家族連れでも行ける程度のものなんだろう。そう思い少し安心した。
どこかで見た事があるような子だが、由夢よりは少し大きいので同じ幼稚園の子だろうか。
しばらく看板を眺めていた女の子はこちらに気が付き、ニコニコと駆け寄ってきた。
「こんにちは」
そう言って女の子は器用にベンチに座った。女の子の手には絵が描かれた画用紙が見えた。
「こんにちは、上手なお花の絵だね」
「ありがとう。ここに咲いている絵を描いたんだ」
そう言って誇らしげに画用紙を広げた。由夢もお絵描きをすると同じような表情で絵を見せてくれる。
「今日は誰と一緒に来たの?」
「1人で来た」
1人で?
こんなに小さな子がどうやってここまで?
それにこの公園に入る時の門は小さな子供が開けるには少し重くなかったか?
「お家は近いの?」
そう問いかけたが女の子はベンチにいなかった。
「見て、綺麗でしょ」
そう言って近くのお花を摘んで駆け寄ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!