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「このお花あげる。私ね、将来はお花屋さんになるんだ」 「そうなんだ。じゃあその絵はお花屋さんをイメージして描いたのかな?」 「うん、幼稚園で発表会があったの。その時に描いたんだ」 「上手だね。将来はお花屋さんになりたいんだね」 「うん、綺麗なお花でお店いっぱいにしたいの」 「そっか、いい夢だね」 「ありがとう。お姉さんは子供の頃は何になりたかったの?」 子供の頃の夢。 思い返すと自分も同じように発表会で将来の夢を描いた絵を持った時の事を思い出した。 「私の将来の夢は、優しいお母さんです」 そう言って誇らしげに皆の前で発表した。 「光莉ちゃんの絵は何をしている所なのかな?」 「美味しいご飯を作っている所です」 「そっか、美味しそうなご飯の絵だね。光莉ちゃんならなれると思うよ。頑張ってね」 拍手をされ、先生や他の保護者はニコニコと笑っていたがお母さんは苦笑いだった。 他の子の発表も終わり、絵を持ってお母さんの所に走り寄るとさっきよりも不機嫌そうな表情だった。 私は何か悪い事をしてしまったのだろうか。そんな不安を感じながら家に帰ると、さっき持って帰って来た絵をゴミ箱に捨てられた。 ショックで何も言えなかったがずっとゴミ箱を見つめていた。 「なんなの優しいお母さんって。まるで私が優しくないみたいな言い方じゃない」
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